ALPHA
Garden
見頃の植物     
(2006.3.13)

三寒四温(今日は寒い方)


アオモジ 卒業式には一枝を胸に挿して(3月13日梅木先生撮影)
アオモジ Lindera citriodora クスノキ科 クロモジ属
岡山や山口県、九州、沖縄などに自生する樹木で、実と材に芳香がある。同じ属のクロモジと同じように爪楊枝などに使われるが、。淡路では3月中頃からクリーム色の花が咲き始める。

温かい日が続きすっかり気がゆるんで、もうコタツもしまってしまえ、などと勇ましく言った翌日にあわててセーターを引っ張り出すような冷え込みがおそってくるこの季節。花粉症でなくてもティッシュを手放せない方も多いのでは。。。とはいえ、見切り発車で温室から出して植えてしまった花のことをそれほど心配しなくてもよくなりました。地面には宿根草の芽が見えだし、縮こまっていたビオラやパンジーの株も幾分リラックスした表情で、ふわりと膨らんできています。耳を澄ませば「ホーホケキョ」と気の早いウグイスが歌の練習を始めています。まだくすんだ茶褐色の山には、アオモジの花があちこちで咲きだしました。この木を見ると、ああ修了式が近づいてきたな、と思い出します。15日、専門課程の6期生が春風に乗って、広い海にこぎ出します。荒波を越えて、地面に根を張り、枝を伸ばし、いつか美しい花として春を謳歌する日を夢見て。
 さぁ 「はじまり」の季節です。庭仕事の方もそろそろ種まき準備をしなくては!

クロッカス
学名:Crocus spp.
科名: アヤメ科
植栽場所: 花の庭など
地中海沿岸の原産で、白、黄、ピンク、紫、絞りなど数多くの品種がつくられています。花の咲いていない時期に何度も地面をかき回されていますが、毎年各日に顔を見せてくれる早春の花の定番です。


ツバキ’侘び助’ 
学名:Camelia wabisuke cv. Bicolor
科名:ツバキ科

植栽場所:玄関前

侘び助はツバキとチャノキの雑種といわれる。花は小さく一重。学校の前に植えられているのは胡蝶侘助かと思われる。京都の古い品種で、特に小さい花が特徴。数年前に枝を思い切って剪定して、「これで花が大きくなるだろう」などと偉そうに言ってしまった。何とも愚かであった。。。苦い経験がよみがえる。
レンテンローズ
学名:Heleborus orientalis cv.
科名:キンポウゲ科  
植栽場所:花の庭など
ヘレボラスの仲間は総じて「クリスマスローズ」の名で呼ばれることが多いですが、春先に咲くこの種はキリストのレンテン節(イースターまでの40日間)に咲くので、こう呼びます。
下を向いた花(本当はガクです)は白の他にピンク、紫、などシックな中間色が多くとてもエレガントです。
そろそろ寒さで枯れて汚くなった葉を掃除して、花をたのしみましょう。
トサミズキ
学名:Corylopsis spicata
科名:マンサク科    
植栽場所:四季の庭、西側温室エリア

まだ辺りの樹木が幹肌をあらわにしている早春に柔らかいレモンイエローの花を鈴のようにぶら下げるトサミズキやこの仲間のヒュウガミズキの花はとても清楚な印象です。芳香もあり、洋風、和風を問わず庭木として是非欲しい一本です。
   
ミツマタ
学名:Edgeworthia chrysantha
科名:ジンチョウゲ科  
植栽場所:四季の庭ほか
枝先が3つに分かれるからミツマタ、何ともわかりやすい名前がほほえましいのに、学名の方は覚えるのに一苦労しました。こちらも春の温かい陽射しを感じる優しい黄色の花。他に'rubura' という赤花のものもあります。
フクジュソウ
学名:Adonis amurensis
科名:キンポウゲ科  
植栽場所:玄関前
春を告げる花の代表.福壽とおめでたい名前がついているのは旧暦のお正月の頃に咲くからとのこと。ALPHAのガーデンではもう少し遅いですね。
 
庭づくり ことはじめ1
                    ’やっぱり土が基本です’

 この冬は校舎の研究棟と講義・デザイン棟の間に位置する中庭花壇の改修工事を行いました。毎年、個々と決めた数カ所の工事を進めていますが、ここは開校以来手つかずだった場所、斑入りヤブランと芝生が混在してしまった箇所は全部剥がしてコニファー’ブルーチップ’とヒペリカムを植栽しました。しかし掘ってみたら地下25cmほどで岩盤にぶつかって驚きました。このような工事図面には記載されていない状況が次々と明らかになります。
 お隣の区画には低木としてヤマアジサイやアメリカノリノキが、高木はクロガネモチと瀕死の状態のベニカエデ植えられていました。高木以外を全部掘りとると、地面からは一抱えもあるような大きな石がごろごろと出てきて、土もほとんどが粘土質のひどい状態でした。これらの植物がここまで生育が悪い原因がはっきりと目に見えました。可能な範囲で土壌改良を施し、ユキヤナギとレンギョウを後列に、手前にアナベルを主としてアジサイを戻しました。カミキリムシにぼろぼろにされてしまったカエデは復活する見込は薄いのですが、今回はできるだけ根を傷めないように配慮し、堆肥を施し、キノコを取り除き、傷口に養護剤を塗布することでもうしばらく様子をみることにしました。中庭(通路沿いの花壇)という場所である事などを踏まえて、植栽デザインはごくシンプルに、しかしアジサイばかりでは他の季節がとても寂しいのでバックヤードで出番を待っていたユキヤナギたちが仲間入りしたのです。
 さぁ、ベストの状態とはいきませんが、いくらか改善された環境下でこれらの植物がどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみです。「基本は土」どんな植物を扱う場合であっても植物を扱う人にとって大原則です。地中のことは土や植物で覆われてしまうと見えなくなってしまいますが、結果は少し時間をおいてしかし確実に現れてきます。庭づくりは建築などとは違い、竣工時の状態は完成形ではないということがまだまだ十分に理解されていません。それゆえ、竣工時に地上部の華やかさばかりが重視されてしまうのが現状です。あらためて生き物を扱っているという大前提に戻り、今後は植栽工事というものはもっと長期的な視野を前提として、(枯れるものが少ないから)無駄がなく、(植物がのびのびと育つから)美しく、(適切な植栽計画ゆえ)管理がしやすい、庭(植栽空間)づくりが広まっていって欲しいと思います。
 ゆっくりと、じっくりと地面に根を深く下ろし、成熟と共に味わいを増す景観をつくっていきたいものです。


      Before                  After
        →  
      Before                  After
        →   施工を終えた中庭花壇
*見頃のページをご覧頂いた(ている)皆様、ありがとうございます。最近は見頃の花情報以上にあれこれ書かせて頂き、やや暴走気味(?!)です。どうぞ皆様の忌憚のないご意見(異論・反論etc)をお寄せ下さい。alpha@awaji.ac.jp