見頃の植物 - ALPHA GARDEN

ALPHA
Garden

見頃の植物     

(2008.04.02
こんにちは。厳しい寒さも和らぎ、青く澄んだ空と穏やかな風が心地よい日々が続きます。3月は別れのシーズンでした。今年も学校では、新しい進路の期待に胸を膨らませた卒業生が社会へ旅立って行きました。アルファの庭ではレンギョウが黄色く微笑み、ハクモクレンは純白の花々を天にかざして、彼らを祝福しています。分区園一面に咲くミニ水仙郷は今が花盛りです。これから新しい出会いの4月に向けて、アルファの庭はますます彩り豊かに春を謳歌することでしょう。1年で最も美しい季節は、すぐそこです。では、4月の見頃、いってみましょう!

ソメイヨシノ

Prunus × yedoensis

科名:バラ科

原産地:日本

花言葉:優れた美人

植栽場所:花の庭

コメント

サクラという名前は植物名としてはなく、主に北半球全体に分布する800もの品種を総称した呼び名です。古くから日本人は和歌に桜を詠み込んできました。奈良時代、花を鑑賞する文化が中国から伝わりましたが、都が京都に移ると花といえば桜となり、古今和歌集では桜の和歌が多く見られるようになります。江戸時代には家康、秀忠、家光などの将軍によって植栽が盛んに行われ、数々の桜の名所もできました。現在、サクラといえばほとんどがソメイヨシノを指します。そのソメイヨシノは江戸時代末期に交配によって誕生し、長生きしているものといっても200歳そこそこ。「まだまだ青いな!」と、急に親近感を覚えるかも。しかし、待てよ。桜前線はソメイヨシノが基準。ということは、200年で全国制覇。天下統一。「やるな!ソメイヨシノ!」などと、お花見の席で語り合ってみるのも一興ですね。

ハクモクレン

学名:Magnolia heptapeta

科名:モクレン科

原産地:中国

花言葉:壮麗、自然の愛

植栽場所:花の庭

コメント:街からは少し遅れて、山の中にある私たちの学校でもハクモクレンが咲き始めました。ふわふわしたかわいい蕾がほころびて、真っ白な大きな花が咲くのは見事です。ハクモクレンのそばを通ると良い香りが、春風に乗ってふうわりふうわりと運ばれてきます。そんなハクモクレンは中国原産で、樹皮に薬効成分が含まれているので、当初は観賞用としてではなく薬用植物として輸入されたのではないかと言われています。

 

ジンチョウゲ

学名:Daphne odora

科名:ジンチョウゲ科

原産地:中国

花言葉:優しさ、おとなしさ

植栽場所:学生レジデンス付近

コメント:ジンチョウゲは春の開花を告げる花です。ツンとした独特な香りが、清らかですがすがしい気分にさせてくれます。学名のodoraはラテン語で、「芳香のある、香りのいい」という意味を持ちます。また、ジンチョウゲ属を表すDaphneはギリシャ神話に出てくる川の神の娘で、アポロンからの求愛を逃れるために月桂樹に姿を変えたと言われています。ジンチョウゲの葉と月桂樹の葉が似ていることから、このような属名になったようです。ちなみに、月桂樹の学名はLaurus nobilisで、クスノキ科ですが・・・。さて、ジンチョウゲが中国から日本にやってきたのは室町時代頃のようで、しっかり帰化植物です。中国では縁起の良い花として古くから珍重され、「瑞香(ズイコウ)」とか「睡香(スイコウ)」などと呼ばれて愛好されているようです。日本でも、若山牧水が和歌に、松任谷由実が歌にと、大変愛されていることがわかります。遠くからでも香ってくるジンチョウゲを、みなさんも発見してみてくださいね。

ムスカリ

Muscari sp

科名:ユリ科

原産地:地中海・西南アジアなど

花言葉:通じ合う心

植栽場所:石畳の階段付近など

コメント

ムスカリは秋植え春咲きの球根です。ブドウのように青い房状の小さな花をつけます。特にチューリップと一緒に用いた春花壇では抜群の名脇役ぶりを発揮します。これはコンビネーション・プランティングと呼ばれる色の組み合わせを調和させた植栽手法として、公園などで広く用いられています。私は「春の球根3兄弟:クロッカス・チューリップ・ムスカリ」と勝手に命名しています。このように、手軽に少し違った植え方で春花壇をもっと楽しむというのも、面白いですね!

ポピー

Papaver sp.

科名:ケシ科

原産国:ヨーロッパ・地中海など

花言葉:もろき熱愛

コメント

学校内にはアイスランドポピー、オリエンタルポピー、カルフォルニアポピーなど多くの種類が植栽されています。最近は、とても春らしくなり一斉に花を咲かせ始め鮮やかなオレンジ色がとてもきれいです。基本的には日当たりを好みとても育てやすい植物です。ですが、風によって種子が良く飛び思いがけずいろんな所からにニョキっと花を咲かすことがあります。みなさんも、学校を訪れる際には探してみるのもおもしろいかもしれませんね!!

プルモナリア

Pulmonaria saccharata

科名:ムラサキ科

原産地:ヨーロッパ

花言葉:気品

植栽場所:カナダガーデンなど

コメント

プルモナリアは常緑性の多年草で、早春に小さな紙細工のような質感の花を房状につけます。咲き始めはピンク色、だんだんと青色へと花色を変化させるので二度楽しめる植物です。耐寒性はありますが日本の高温多湿は苦手なため夏場は日陰、半日陰になる涼しい場所を好みます。葉には白い斑点状の斑が入り、花のないときも楽しめます。日本ではまだなじみが浅い植物ですが、シェードガーデンに利用したり、グラウンドカバーとして使ってみたりするとお庭に花言葉のような「気品」を添えてくれそうです。

バイモ(アミガサユリ)
 

Fritillaria verticillata

科名:ユリ

原産地:中国

花言葉:威厳

植栽場所:一般駐車場横

コメント

鱗茎が二枚の鱗片からなっていて、その姿が二枚貝の殻の形に似ているので、この名があります。茶花としてあるいは日本庭園の植栽として、古くから親しまれてきました。日本ではもともと薬用植物として栽培され、鱗茎の外皮をはいで、石灰をまぶし、乾燥させたものを漢方薬として用います。咳止め、解熱、去痰などの効果があるといいます。なお日本には同じ属の在来種としてコバイモがあり、こちらは地域によって8種類の個体差があり、バイモに比べてもとても小さく春の里山の林床にひっそりと咲いています。高山に咲くクロユリもこの仲間です。

小特集

「春の植栽風景を楽しむ」

春の陽気に誘われて、公園などに足を運ばれる機会が増えると思います。そんな時に、なんといってもチューリップを使った植栽が目を惹きますよね。先に述べた「4月の見頃:ムスカリ」の中で触れましたが、チューリップをもっと楽しむためのちょっとした植栽方法があります。

まず、一つが「コンビネーションプランティング」です。これは、チューリップの周りにネモフィラやムスカリ、クロッカスなど色や形の違う植物を植えて文字通り組み合わせを楽しみます。そして、もう一つは「マルチレベルプランティング」です。これは、チューリップの中でも早咲きと遅咲きの球根を組み合わせて長い期間同じ場所での植栽を楽しむことができるというものです。
実は、このような技法を駆使して立体的でダイナミックな景観を演出している公園が数多くあります。ちなみに、学校の花の庭階段付近に私たちが植栽した球根花壇もチューリップと様々な植物を組み合わせた植栽を行っています。是非、ご覧になって下さい。

<学生のALPHAな日々③>

 

3月は別れのシーズンでした。今年で卒業する先輩方。退官される先生方。厳しい寒さを超えた優しい光が笑顔と涙をやさしく包み込みます。私たちは、新しい進路への希望を分かち合いました。修了式で粛々と卒業証書が授与された後、卒業生送別会を執り行いました。卒業式とは一転、賑やかに在学時の失敗や苦労話を皆で語り明かしました。また、今年でアルファを退官される石原校長・望月先生・一ノ瀬先生からも、素晴らしい御話を頂戴しました。私たち在校生は「さようなら」ではなく「いってらっしゃい」と見送ります。アルファに遊びに来た際には、ご活躍の話を聞かせて下さいね!

さて、学校授業の紹介ですが、PD(プランティングデザイン)を選択している学生たちの作品が完成間近となりました。作業室の空間に園路と花壇を施工するという本格的な演習です。思えば、昨年の秋から始まり、雨の日も雪の日も続いた作業でした。演習を通して、施工という現場に向き合う心構えや作業手順の大事さを学びました。私達は、これからも色々な体験を通して学習を深めてゆきたいと思います。


修了式の様子

送別会の様子

完成しました!!

 

*見頃のページをご覧頂いた(ている)皆様、ありがとうございます。ご意見や、ご感想などをお寄せ下さい。alpha@awaji.ac.jp

 

過去の見頃ページ