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シオン
写真:シオン
学 名:
Aster tataricus
科 名:キク科
原産地:東アジア
植栽場所:
アルファガーデン
シオンは野菊の1種で、渓谷にかかる朝霞のような美しい小花が群がるように咲きます。草丈が2m近くになることもあり、お庭では後景を彩る貴重な存在です。夏の終わりからつぼみをつけ、暑さが次第に穏やかになり、彩りの変わる秋の訪れを告げてくれます。
にじんだような青紫色の「紫苑色」は、この花の色に由来しています。紫苑色は、平安時代に着物の襲(かさね)の色として人気であったと言われています。そこで、今回は平安時代の秋を読んだ歌を紹介したいと思います。
百人一首の37番目、文屋朝康の歌です。
「しらつゆに 風のふきしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける」
この歌は、秋の野原一面の草や木、花についた露がきらきらと光っているところに、はげしい風(野分:台風の風)が吹いてきて、つゆが吹き飛ばされる様子を見て、まるで首飾りがほどけて真珠が飛び散っていくようだと表現しています。この歌は、寒さが次第に増し、長く感じる秋の中で、そのものの姿が見えない風の一瞬の短い動き、清らかな露の美しい光景を思わせるところが素晴らしいといわれています。文屋朝康をはじめとする平安時代の人々が見つめていた秋の野には、シオンが真珠に色を添えていたかもしれません。
文屋朝康の後なのでこっそりと、ここで一首
ひといなさ にぎわう緑 散りぢりに 紫苑の霞 にじむ月の夜
(詠み手:ここのつ★いつつ)
<参考①:・百人一首大辞典/監修:吉海直人(あかね書房) p37>
<参考②:四季の花色大図鑑(講談社)p111>