見頃の植物

ツバキ(実)

ツバキ(実)



学 名:Camellia japonica
科 名:ツバキ科
原産地:日本
植栽場所:一般駐車場の裏側
(花トイレ西側)






 ここにあるツバキには、小さなリンゴのような果実が今たくさんなっています。私はツバキの果実を見たことがなく、こんなに果実がなるのかと大変驚きました。冬に咲いている花にばかり注目していたのです。
 実はこのツバキには樹名板がついていません。私たちが良く目にする、一般的に「ツバキ」と思うものは「ヤブツバキ」のことが多いので、ヤブツバキの実と見比べてみようと思いました。しかし残念なことに学校の正面玄関近くにある「ヤブツバキ」と表記があるものには果実がなっておりませんでした。

 本当にこれはヤブツバキなのでしょうか?なぜかというと、ヤブツバキの変種で、大きな果実がなる「リンゴツバキ」というものがあるからです!リンゴツバキは別名ヤクシマツバキとも言い、屋久島原産で、沖縄、九州、四国の南端など日本の南に自生するようです。

 ちなみに、北陸地方に自生する「ユキツバキ」というものもあります。ヤブツバキやリンゴツバキには葉柄に毛がありませんが、ユキツバキは葉柄に毛があるそうです。この不明なツバキの葉柄も観察してみると毛がありませんでした。また、果実の形もユキツバキはまん丸ではなく変形したような形であることから、不明なツバキはユキツバキではありません。
 正面玄関近くにあるヤブツバキと葉を比べてみると、不明なツバキは葉が少し細長いような気がします。
 なんと、リンゴツバキの葉の特徴にも、「葉はヤブツバキより小型で細長く」(参考①、以下同様)となっているではないですか!実もなんだか大きく見えるし、リンゴツバキなのか…?!
 更に果実を採って半分に切ってみることにしました。それが下の写真です。直径を測ってみると、4㎝。リンゴツバキは「九月には果実の直径が五~八㎝に」なるそうです。…思ったよりもこの果実はリンゴツバキより小さいことが分かりました。まだ大きくなるかもしれませんが…
 最後に、現在は見ることが出来ない花ですが、リンゴツバキは「花はヤブツバキの半分で半開性の筒咲き」とのこと。私が冬に撮っていた写真を見ると、どうも、あまり小さくないようです。ただ、現在しっかり確認できないのが残念です。

 長々となりましたが、私はこのツバキは実が大きい「ヤブツバキ」ではないかと思います。ヤブツバキに南方の遺伝子が入っていたり、リンゴツバキが寒くて小さかったり、などの可能性もあるかもしれません。もし間違いでしたら、またご報告させて頂きます!
 ツバキ属の樹木はたくさんの種類があり、見分けるのが大変です。花や葉だけでなく、果実の違いもあるので、これからは色んな時期に、ツバキに注目しようと思います。


ツバキ(実)  こんなところで大活躍!

 ツバキの果実の中にある種からは「椿油」が採取できます。現在は化粧料頭髪油の商品が多く出ているため使用したことがある方もいると思います。かつては、日本の特産資源として、食用、薬用、化粧用、燈用、工芸用に必須のものだったといいます。遣隋使や遣唐使などが中国に紹介していたそうですよ!



参考①:(引用文もこちらより抜粋): ガーデンライフ「ツバキとサザンカ その魅力と栽培」誠文堂新光社、昭和50年9月
参考②:荻谷薫「魅力の花木 つばき」主婦の友社、昭和49年5月