見頃の植物

フウ

フウ



学 名:Liquidambar formosana
科 名:マンサク科
原産地:中国中南部・台湾
植栽場所:一般駐車場入口付近
別名:タイワンフウ




 晴れた秋の空によく映える紅葉がとてもきれいです。 つい立ち止まって見上げてしまうほど。日の光に透けて様々な色が見えます。 赤色、と表現するだけでは足りない、たくさんの色です。 フウの紅葉を見ていると色の奥深さが体感できます。 落ち葉を踏むと、枯れた葉のいい音がします。 それに落ち葉からは、ほんのり香ばしいような香りも漂い、この時期のフウは五感で楽しむことができるのだな、と感じました。

 先ほど、ほんのり香ばしい香り、と書きましたが生きている葉っぱの匂いはかなり鮮明です。 ちぎってかぐと、強すぎる青リンゴのような香りが鼻を刺します。 しかし不快ではありません。ちょっとくせになってしまう香りです。 属名のLiquidambarは、ラテン語の「液」とアラビア語の「琥珀」の合成語だそうで、芳香のある樹脂を持っていることを表すそうです。 樹脂は楓香脂と呼ばれ、香料や薬用に用います。香りはフウの大きな特徴と言えます。

 また、紅葉する樹木で、フウと雰囲気が似ているものは少なくありません。 モミジバフウやトウカエデです。 これらの中からフウを見分けるには、鋸歯のある葉っぱが三裂しており、小枝に翼がないものと覚えておけばいいと思います。 モミジバフウは“フウ”がついているので、そっくりかと思いきや、見分けるのは割と簡単です。 “モミジバ”というだけあって、葉の裂け目が3以上で広く裂けているものが目につくからです。 またこちらの原産国はアメリカです。アメリカではモミジバフウをAmerican Sweetgumと呼ぶらしく、 一方フウはChinese Sweetgumとも表現されるようです。話は逸れますが、サトウカエデはSugar Mapleです。 確かな根拠はありませんが、フウやカエデのたぐいは欧米では甘いイメージなのかもしれません。 日本のモミジやカエデ類からは甘さなんて連想したこともないです。


フウ  こんなところで大活躍!

 街路樹として植わっていると、都会でも秋の訪れを感じさせてくれます。 鮮やかな紅葉も魅力ですが、丸く、とげのような突起のある実もかわいいので、 クリスマスリースの飾りに使ってもいいと思います。






<参考①:岩崎哲也『都市の樹木433』文一総合出版(2012.4.30)>  
<参考②:北村文雄他『NHK趣味の園芸 樹木図鑑』NHK出版(2001.2.20)>  
<参考③:満久崇麿『同名異木のはなし』思文閣出版(1987.2.20)>