見頃の植物

マンサク類 Hamamelis japonica

マンサク</dt
写真:マンサク類



学 名:Hamamelis japonica
科 名:マンサク科
原産地:日本
植栽場所:西作業室付近の市道沿い


 樹高2~7mの小高木で、北海道南部~九州の冷涼な山地の尾根などで見られます。まだ寒さが残る頃に、早々と花をつけており、春の訪れが近づいているように感じさせてくれます。 よく観察してみると、一つの花から4枚の花弁が出ており、その付け根に萼片があることが分かります。 開花直前は、くるりとリボンのような花弁を巻いていて、かわいらしいです。冬の青空に薄黄色が栄えて、思わず立ち止まって見とれてしまいます。
 今は落葉して見られませんが、葉は左右非対称ないびつな形をしていて特徴的です。そして秋には黄葉が美しいので、花が終わった後もぜひ観察してみて下さい。


 由来は、早春開花のため「まず咲く」から。まだ葉の開かないうちに、枝いっぱいに花をつけるので、万作という説があります。 また、たわわに黄色く実る状態を稲の豊年満作を予告するからとも言われています。豊年を予知するのは、山形、宮城、福島、群馬、新潟などの地方です。
 「マンサクの花が上向きに咲いた年は豊作」(山形・福島)と言う言い伝えや、「マンサクが咲かない年や少ない年は凶作」(山形・宮城)とも言われています。特に言い伝えがある地方では、生活に強い結びつきのある稲の実りをマンサクの花で推測することで、馴染み深い木となっているのではないでしょうか。
 このように花の咲き方と生活の一部を直結して見てみると、また違う見方ができるかもしれませんね。



 それでは、最後にマンサクについてここで一句
マンサクの 黄色いリボンほどけたら 春の衣装に 着替える合図 (詠み手:御手洗 みよ)


<参考①:足田 輝一.植物ことわざ事典 p.296-298.1997年(株式会社 東京堂出版)>  
<参考②:濱野 周泰.原寸図鑑葉っぱでおぼえる(柏書房株式会社)>  
<参考③:林 将之.葉で見分ける樹木 増補改訂版p.33.2010年(株式会社 小学館)>  
<参考④:木村 陽二郎.図説草木名彙辞典p.326.1991年(柏書房 株式会社)>