ホトケノザ
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写真:ホトケノザ |
学 名:Lamium amplexicaule
科 名:シソ科
原産地:アジア、ヨーロッパ、北アフリカ
植栽場所:レジデンス入口階段横
そろそろ春が来るかなぁと歩いていたら、一面に春を象徴するホトケノザの花が咲いていることに気づきました。植物は、いち早く季節の変化を感じ取っているようです。去年入学してきた頃を思い出します。
ホトケノザは、畑や道ばたに普通に生える越年草です。まっすぐ伸びた茎に、2~3段に円形で鈍い鋸歯のある葉が対生し、そこに茎をかこんで花がついています。よく見ると、つぼみができています。これらのうち、いつになってもつぼみのままの花があり、これらを閉鎖花と言います。閉鎖花は、開花することなく、自家受粉で種を増やしています。他家受粉と自家受粉の2つの戦略で、ホトケノザは賢く生き延びているのです。本校でも至る所に広がっています。
茎は四角柱状で、花は、唇形花になっています。上唇と下唇に分かれており、下唇は大きく3つに分かれ、その中央はさらに2裂していることが分かります。ここは、花粉を媒介するハナバチ類の足場になっています。よく見かける植物でも、細部まで観察して、一つずつ紐解いていくと、より一層関心が深まりますね。
由来は、蓮華座(仏像を安置する台座で、蓮を象ったもの)のように葉を円く出すことからです。そう思うと、一面を覆っている姿を見ていて、厳かな気持ちが芽生えそうです。
また春の七草のホトケノザは本種ではなく、キク科のコオニタビラコを指し、区別するために、本種を三階草(サンガイグサ)と呼ぶことを牧野富太郎博士は提唱しています。
それでは、ホトケノザについてここで一首。
春来れば 一面に咲く ホトケノザ 過去振り返り 先行く決意(詠み手:御手洗 みよ)
<参考①:林 弥栄,門田 裕一.山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花 増補改訂新版p.455(山と溪谷社)>
<参考②:廣田 伸七.ミニ雑草図鑑~雑草の見分けかた~p.91(全国農村教育協会)>
<参考③:池田 健蔵,遠藤 博.原色野草検索図鑑[合弁花編]p.32(株式会社 北隆館)>
<参考④:木村 陽二郎.図説草木名彙辞典p.326(柏書房 株式会社)>
<参考⑤:山田 卓三.野草大百科.p.82(株式会社 北隆館)>
<参考⑥:ホトケノザの閉鎖花.http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/hotokenoza-heisaka.htm>