トウゴマ
学 名:Ricinus communis
科 名:トウダイグサ科
原産地:熱帯アフリカ
植栽場所:エルフガーデン
目をひくルックスで、赤いとげとげはインパクトがあります。
花壇の中から、ただものではない感じを漂わせてきます。
7~10に裂けた赤い葉脈の葉、赤いつやつやの茎、房のような形で飛び出しているクリーム色の花、
玉ねぎみたいな形をした蕾、そして真っ赤でとげとげ。
それらの全てに対して、君は何なの?と問いたくなる容姿です。
毒々しい存在感を放ちながら、夏の強い太陽光を浴びて強そうです。
赤いとげとげは触っても痛くありません。
これは果実ではなく、まだ雌花だそうです。
ふにゃっとしていて、どこか人工的な素材を思わせるさわり心地です。
果実になると、色は黒っぽくなり、とげも硬くなるようです。
雌花の周囲や中にはたくさんの蟻がいました。
何かおいしい成分でも分泌しているのでしょうか。
蟻は何か探しているみたいに、しきりに右往左往しています。
種子は、この赤い雌花の中に入っています。
分解してみたところ、一つの雌花で三つの種子が確認できました。
種子の大きさは予想以上です。1.3cmありました。そして色は真っ黒です。
学名のリキヌスは、ラテン語のダニが語源だそうで、種子の形に由来しているそうです。
一般的にゴマといえば、黒一色や白一色だと思いますが熟したトウゴマは、まだら模様です。
種子の形や、模様がダニに似ていると昔の人は思ったのではないでしょうか。
マダニを見た者の意見です。
トウゴマはゴマという名前の通り、食べられるものだと思っていました。
しかし、食用には全く不可のようです。
種子はとても脂肪油が多く、そこにはリシノール酸という瀉下作用のある成分が含まれているそうです。
下剤としての利用は昔からあり、便秘や食中毒に利用するようですが、作用が激しいとのことです。
私は使用しない方がよいと思います。また、トウゴマからはヒマシ油がとれ、意外と身近に利用されています。
天ぷら廃油の凝固剤や塗料、食品添加物、化粧品などなど。
毒があるけれど有用な植物といえそうです。むしろ、毒があるから有用なのかもしれません。
こんなところで大活躍!
ちょっと異色な植物がほしい時に植栽すると一気に魔女がつくった庭のような雰囲気に。
しかし、子どもが種子を食べて事故になったことがあるそうなので、植栽場所には注意が必要です。
<参考①:中井将善『気をつけよう!毒草100種』金園社>
<参考②:塚本洋太郎・明道博『朝日園芸百科 1・2年草編』朝日新聞社(1988.2.20)>
<参考③:伊藤製油株式会社「ひまし油図鑑」http://www.itoh-oilchem.co.jp/himashi/(2015.8.5最終閲覧)>