ヒメガマ
学 名:Typha domingensis
科 名:ガマ科
原産地:日本
植栽場所:風の庭の水辺
風の庭の水辺にウインナーがたくさん揺れています!!
串刺しにされたように茎がグサッとささり、その先はウィンナーを突き抜けています!毛が生
えておりホワホワしていますが、触ってみると・・固い!結構固い!意外な固さです。このウィ
ンナーの正体、それは「ガマの穂」と呼ばれる雌花の穂が肥大化してできた花穂でした。
ガマとはガマ科に属する河川や池沼などに群生する抽水植物で、同じ科には「ヒメガマ」や、
ガマより葉や穂が全体的に小さなサイズの「コガマ」と呼ばれるよく似た仲間があります。学校
の風の庭に生息する種は「ヒメガマ」でした。
ヒメガマと思われるポイントは雌花穂(ウィンナー)より飛び出している茎の部分です。現在は
枯れて残っていないのですが、飛び出した茎の先には、黄色い花粉をつけた雄花穂が咲きます。
ガマとコガマにおいては雌花穂に隙間なく雄花穂がくっついて咲きますが、ヒメガマは雌花穂
と雄花穂の間に花のつかない茎の部分が存在します。雄花穂の名残はほぼないのですが、よく見
てみると雌花穂の上の部分に裸の茎の部分が数cm確認できます。これはヒメガマにしか見られ
ない特徴です。この独特のスタイルにも、さらに細かないろいろな違いがあるんだなーーーと感
動しました。
また、このウィンナー・・雌花穂はこのあと姿を一変させます。種子が熟すと形が崩れふわふ
わの綿に変わり、大量の種子を風で飛ばします。飛散された大量の種子は空いた土地に進入し太
い根を広げて群生するため、耕作をやめた休耕田などにガマの姿がよく見られます。
この夏、田んぼや川辺を散策する際は風にゆれるガマ(ウィンナー)の姿を探してみてください。
こんなところで大活躍!
ガマは奈良時代から多くの文献におい
て薬草、蒲団の芯、食用などに利用され
たとして記録があります。
古事記の「因幡の白兎」の話の中では、
皮を剥がされて苦しんでいるウサギに大
国主命(オオクニノヌシノミコト)がガ
マの穂を身体につけるように命じ、その
花粉によりウサギの身体に白い毛が生え
て、傷が治ったとされています。また生
薬でもやけどや止血剤などに利用されて
いるそうです。
参考文献
〈高橋勝雄『山渓名前図鑑 野草の名前 夏』山と渓谷社(2003.4.1)〉
〈内山りゅう『田んぼの生き物図鑑』山と渓谷社(2013.3.5)〉
〈林弥栄 門田裕一『野に咲く花』増補改訂新版 山と渓谷社(2013.3.30)〉