アマドコロ
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写真:アマドコロとミツバチ |
学 名:Polygonatum odoratum
科 名:ユリ科
分布:北海道~九州、中国
植栽場所:カナダ庭園
初夏の気配を感じさせる爽やかな風に、アマドコロの白く淡く緑色の花たちが清楚に揺れます。節ごとに釣り下げた花の絶妙なバランスも、弓なりのしなやかさも、アマドコロの清純さが表れているように感じるのです。
地下茎は黄白色でヤマノイモ科のトコロに似ており、甘くて食べられることからこの名前がつきました。ちなみにトコロは食べられるものの苦いそうです。若苗はゆでてお味噌で和え、根は煮物にし、また根を干し煎じて服用すると老化防止に効果が!? と万能な里山の植物でもあるのです。
よく似たナルコユリは地下茎から立ち上がる茎が丸いのに対し、アマドコロは稜(りょう)があり、触ってみると角張っているのが分かると思います。見分けるポイントにしてみてください。
アマドコロのこの可愛らしい風鈴の形をした花に注目してみましょう。花は先に向かって淡く緑に色づきます。さらにもっと顔を近づけてじっくりと見てみると、花びらの先端に白く短い毛があることに気付きました。先っぽだけにちょこんとあるのです。気になって調べてみましたが、はっきりとした理由は見つかりませんでした。さて、これは私の想像なのですが、もしかしたら蜂や蝶などの虫たちが花びらにとまりやすいようにと、俯いて咲くアマドコロの心配りなのではないでしょうか。そんなことを考えると、じんわりと心が温まります。
最後に、ミツバチの気持ちになって一首
しなやかに たわんだ先の 白緑の 双子の蕾 ほころぶ頃に (詠み手:鹿北愛)
<参考①:コンパクト版10原色園芸植物図鑑Ⅳ. P.181. 1988年(株式会社北隆館)>
<参考②:田中孝治. ホーム園芸 薬になる植物百科. P.18. 1983年 (株式会社主婦と生活社)>
<参考③:唐澤耕司. 図解やさしい薬草づくり. P.69. 1986年 (社団法人家の光協会)>
<参考④:日本花名鑑4. P.368. 2007年 (日本花名鑑刊行会)>
<参考⑤:四季花ごよみ. P.382. 1994年 (株式会社講談社)>